94話 吉橋秀城『追っかけの職人』

ふう~…
こりゃ次回、あたしも覚悟をもってと~じょ~するしかないですね…
ところで今回、本編でのと~じょ~は吉橋選手ですけど、関センセェみたいなことは言わないですよね?
じつは関センセェ、吉橋選手のことがお気にいりみたいなの。
だから、ちょっとシンパイ…

吉橋秀城

吉橋秀城

西武園OB 関優勝(37期)

たまには客を泣かしたろうぜ

「マーク屋は2着で勝ち」…

って言葉も、今や完璧に死語になっちまったけど、オレらの頃は軽い倍数で回転力の競輪、そして競りの競輪だったからな。

軽い倍数ってのは動きやすい分 位置の取り合いや競りの機会も多くなるし、そこでペタルもビュンビュン回してるんだから脚だけでなく心臓の方もいっぱいになっちまう。
とにかく競りの多い競輪だったんでマーク屋もゴールに近づく頃にはもうヘロヘロ…
ゆえに「2着で勝ち」ってことだったんだ。

その点、今の競輪はでかい倍数ゆえ筋力で戦える比率も増えたせいか年寄りの選手にとって多少は戦いやすくなってるよな。
戦い方も、縦中心、仕掛けやダッシュについて行けさえすればどうにかなる…

とはいえ、でかい倍数だと先行屋だってかなり持っちゃうわけだから差すのはやっぱり大変か…
今の若いヤツらは筋力、パワーもすげえしな…

まっ、そういう風に考えていくとマーク屋にとって どっちの時代の競輪の方がいいかってのは一概には言えねえか…

さて、というわけで、吉橋だ。

たしかに頭(1着)の数は多くねえけど、自分の役割や責任を果たす競走はしっかりできててさすがだと思うぜ。

客やってて、それほど迷惑かけられたって印象はねえし、どちらかっていうと気持ち良く競走観せてもらえたってことの方が多い気がするもん。

長い選手生活は、やっぱりダテじゃねえってとこか?

まっ、でもさ、たま~に頭突き抜けて別の意味で客泣かせるってのも悪くはねえぞ。

オレの現役時代の最高の楽しみってのが まさにそれ、ガッハッハッ!
ってなわけでよ

「まだまだ、ガンバレ!」

 

ところでセンセェ、勝ってお客さま泣かせた数とチギレで泣かせた数と、どっちが多かったの?

うるせえ!

ホヒヒヒヒ♪

白岩大助

 

長~い つきあいです

吉橋さんは85期生ですが、元は私と同じ84期生として競輪学校(現養成所)へ入校しました。
ところが持病の腰痛が悪化して一旦休学となり85期生として再入校となりました。

僕の1つ年上の先輩で高校は違いますが自転車競技の大会などで対戦しました。

スプリントという種目で初対戦したのですが大会で初めて負けたのが吉橋さんだったのでとても印象に残っています。
高校生の時から身体がガッチリしていて既にプロのような身体つきでした。

大きなお尻、今でもハッキリ覚えています。

練習は森林公園グループに所属していて主に街道練習。
選手会では以前は幹事、そして今は監査として支部運営でもお世話になっています。

ちなみに85話の安部達也さん編の最後でお話しした競輪学校83期生の2次試験でふざけ合って僕と一緒に不合格となった受験生の1人が吉橋さんなのはここだけの話です(笑)

新井剛央

食いまくってますけどね(笑)

吉橋選手はダッシュ系というより地足をいかす選手です。

追い込み選手として長くやってますが、目標がいなければ自分で動くレースを、そしてレースの中で隙が出来れば自分で捲ったり捌いたりするレースもあります。

最後まで諦めないしつこいレースをしますね。

白岩も言ってるように身体がとてもガッチリしています。
それを維持する為なのかよーく食べますね。

ラーメンも汁まで完食するのは当たり前、カレーは飲み物だって言ってたというのも聞いたことあります(笑)

なんだよ、こっちの方では食いまくりなのか、ハッハッハッ!

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93話 山口拳矢『この親にしてこの子あり?』

みなさま、本日は予定を変更し『報道特別番組』をお送りいたします…

山口拳矢

山口拳矢

西武園OB 関優勝(37期)

今回の決勝、オレは結構 山口が気になっていたんだよな。
逃げ争い必至のメンバー構成の中で機動力持ちの単騎だろ、こういう時こそ こういうのも買っとけっていう見本みてえなレースだったと思うぜ。

ってことは、まさかセンセェ取ったの?

ハッハッハッ
まあ、そういうこともあるよな

フン!
い~ですよ、い~ですよ…
ど~せハッタリでしょ!

ガッハッハッ
最終的にはまた赤字!
いつも通り、また金策だ…

やれやれ、よかった♡

見事な勝利

それにしても似た者親子なのかなあ…

親父も盲点的な存在から、けど最後は恵まれでもなんでもなく文句なしの差し脚で突っ込んで来てなあ…
競走前はケチもつくような存在なのにゴール時は完勝…

一つだけならフロックてのもあるけど、親父は でかいの3つ。
まさに本物中の本物。

そういう親父のせがれが、また同じように伏兵的存在から見事な動きと脚で優勝だ。

それにしてもこの優勝、本人にとっても相当でかいんじゃねえか。
まあ、若干歳がいってからのデビューだし、早いうちに一発取っとくことでタイトル複数ってクラスをより明確に目指せるようになるべ。

いずれにしても、これで勢いつけて一気に飛躍できるかどうか、これからの1年間は本当に重要だし大いに注目したいところだな。

新井剛央

拳矢選手、おめでとうございます!

77回日本選手権競輪を制したのは山口拳矢(岐阜・117期)選手でした。
改めましておめでとうございます。

ご存知の方がほとんどだと思いますが、お父さんは山口幸二(62期・引退)さんなのでデビューしてからも周りの期待が相当なものだったと思います。

日本選手権決勝は、絶対王者脇本選手率いる近畿勢、SS班の新山選手、佐藤慎太郎選手、和田圭選手率いる北日本勢、メキメキと頭角を表してきた徳島犬伏選手に前SS班の清水選手、香川雄介選手率いる中四国勢と、どのラインからも優勝者が出る可能性があるとても見応えのあるメンバーでした。

誰⁉︎

大方の予想通り、犬伏選手が清水選手を引っ張ってかける展開を脇本選手や新山選手が捲る展開となりましたが、犬伏選手ラインにいた山口選手が直線で突き抜けました。

ゴール直後は、4番って誰だっけっと話になってましたが、清水選手の番手捲りを直線で捉えられる力は素晴らしかったですね。

まだデビューして3年、今年からはダービー王として来年はSS班としてさらに注目を浴びると思います。
今後も山口選手のレースにとても期待ですね。

白岩大助

中部地区に大きな刺激

まずは山口拳矢選手おめでとうございます!

レース展開については副支部長が臨場感溢れるレース解説をしてくれているので省きますが脇本、新山、犬伏、今の競輪界の自力選手として最も勢いのある3つのラインの力比べ。

連日強い走りの競輪史最強と呼ばれる脇本選手はどのように走るのか?
そこに多くの競輪ファンの目は注がれていたと思います。

しかし終わってみたら虎視眈々、単騎で一発狙っていた山口拳矢選手の優勝。
とても見応えのあるレースでした。

ここ数年、中部地区の活躍が他地区に押されていたところもあるので今回の山口選手の優勝によって流れが変わってくるのではないかと思います。

驚くべき集中力

最後に山口選手とはレースで時々一緒になる程度で性格など詳しく分かりませんが挨拶もしてくれますし、とても好青年だと思います。

そして彼をよく知る同世代の選手から山口選手について聞きましたが、とにかく集中力が凄いと言っていました。
レース前もマンガ本をずっと読んでいたと思ったらササっと着替えてウォーミングアップに行く。
オンオフの切り替え、集中力が凄いとの事でした。

最初に制覇した地元のビッグレース共同通信社杯、そして今回の日本選手権、どちらもその集中力の高さが功を奏したものかも知れません。

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