112話B面『新スタイルケイリンって ど~なるんかね?』

さて、今年はインターナショナルスタイルの競走が実験導入されるようです。
ぎょ~かい人の あたしとしては
「うわ~ たのしみ~~~~!」
と言っとかないと、明日ど~なっちゃうか わかりません。
ぎょ~かい人ではないタナカセンセェは、どう?
たのしみにしてる?

特に思うことはないなあ…
ということで、楽しみにしてるってわけでもないね

そうなの?

最終的な結論を下すのはお客さん達じゃん
好評なら、新スタイルの競輪として、また発展していくってことなんじゃない?

オレは、そもそも格闘技競輪でファンになったクチだから世界戦スタイルに興味がないってだけの話
だけど、現在の多くのファン達が、そのスタイルを望み、実際楽しめるんだったら反対する理由なんてないじゃん…

そうそう、そういや先月の新年会の帰り道で、現役選手の子も新スタイルの件をチラッとつぶやいてたっけ…

えっ、どんなふ~に?

 

不安げな顔で…

んじゃあ、特別な思いはないんだけど、今回は新スタイル競輪についてちょっとだけ。

ちなみに現役の子が発した言葉っていうのは

「競輪界ってのは、将来的に250(走路)でやってるような競走に変えちゃいたいってことなんですかねえ…」

で、表情は、前向きって風には見えなかったね…

まっ、部外者のオレにはまったくわからないし、選手達やお客さん達がどう思っているのかも知らないので何も言うことはなかったんだけどさ。

(そのスタイルだと、選手寿命はどうなるんだろう…?)

って、瞬間的に思ったくらいだったかな…

極めて優秀だったと思える現行の競輪

先に話したように、オレが競輪に興味を持ったのは格闘技スタイルの時。

でさ、後年、仕事にもしちゃったくらいに魅了されちゃうわけだけど、当時は、知れば知るほど競輪ってのは完成度の高い競技だなって思ったもんかな。

まず、賭けの対象として極めて優秀じゃん。

集団戦的要素、個人戦的要素がうまくミックスされたことにより、力の劣る選手にでも理屈上の勝機も出現するでしょ、これってすごいことだと思わない?

特別なハプニングでもない限り、強い者が当たり前に勝つって競技は少なくとも賭けの対象としてはイマイチでしょ。

重ねて言うけど、弱い側でも勝つ展開がある程度出現して、それに見合う配当が用意されてるって まさに言う事無しじゃん。

あと、こういう競技スタイルの副産物として選手寿命を延ばせるってのもあるよね。
脚力、身体能力がすべてじゃないってことだから。

それから、こういうのも素晴らしいって思うとこかな。

競走の組み立てや流れに法則的なものがあるってこと。
簡単なものだと、自力型選手の後ろにマーク型選手がつく、みたいな。

そういったものをある程度覚えられたら、選手や専門家じゃなくても、スタートからゴールまでの流れをある程度具体的に想像できるようにまでなれるでしょ。
実際、ほとんどのお客さんが当たり前にそれをして投票してるんだから。

もちろん、予測の当たりハズレは別としてだけどさ。

ちなみに、賭けの対象として野球(?)やサッカー(?)なんかもあるじゃん。

あれって、試合が始まる前に、出場選手を見ただけで具体的な試合の流れを予測出来るお客さんなんて、どれだけいるんだろう?

他の公営競技でも、例えば競馬なんて、そういう形で投票してるお客さんってどのくらいなんだって思っちゃうもん。

興奮しまくり!

さて、次は観戦競技としての優秀さ。

これは、個人個人好みが分かれるとこなので、オレ個人の感想になっちゃうんだけど、スピードレースをやりながら格闘技も見せてもらえるでしょ。

初めて競輪の「競り」ってのを見た時、衝撃受けたもん。
プロレスやボクシングに勝るとも劣らない迫力を感じたからね。
もちろん、当時の競輪の話だけど。

あとさ、当時の競輪で一番重要だった位置や並びってのは格闘による奪い合いで決まってったじゃん。
時に一対一、時に徒党を組んでって具合に。

で、その事により、様々な人間模様が形成されていくんだよね。
身分、友情、遺恨、義理…

昔は、そういうのが「社会の縮図みたい」なんて言われたりもしてたっけ。

で、こういうのもレースに大きく影響するってことで、お客さんたちは選手達に対し、脚力以外のことでも非常に興味や関心を持てたんだよね。

ある意味、テレビのワイドショーを観るような楽しみ方も出来たってことなのかな。

いや~、オレにとってはハマれた要素が本当に一杯。

正直、自転車のレースってだけだったらあまり興味も持たなかっただろうなあ…

な~んて風に考えてたら、今度実験がおこなわれる新スタイルの競輪ってのはオレが好きだった競輪の完全否定ではあるのかも。
賭け事の対象としても観戦の対象としても…

とはいえ、このスタイルの競輪にまったく問題がないわけじゃないってことも理解はしてんだけどね。

ここまで持ち上げる話ばっかしてきたけど、このスタイルにおいて最大の問題点は、やっぱり命、身体の危険に関わるということ。

ドンパチが激しいものであればあるほど落車の危険性は増すでしょ。

超格闘技競輪の頃に比べれば、かなり変化したとはいえ このスタイルを続ける限りは永遠に続く課題だよね…

それを考えちゃうと、新スタイルの方が、そういった危険性を減らせるのは間違いないし、そのうえで、より多くの人がそっちの方を楽しめるってのなら新スタイルの提案ってのは間違ってるとは言えないってとこもあんだよね。

と言いつつ、オレにとっては、それでも少々複雑な気持ちにはなっちゃうんだけどさ…

 

まあ、あたしもウン十年前にファンになったクチだから、センセェの そ~ゆ~いいぐさも わかるっちゃわかるけどさ…

以前話したことがあるんだけど、外国人観光客が競輪をお目当てにやって来るような状況を目指せないかって風に思ってるんだけど、その場合は、どっちのスタイルが好まれるんだろうね?

世界戦スタイルの方が無難っちゃ無難だけど、格闘技スタイルってのは、まさに日本独自のものでしょ
外国人には日本特有のものが受けてるみたいだし、となると競輪もさ…

外国の方が競輪場にあつまってくれるよ~になったら、あたしもうれし~けど、へたに格闘なんか見せちゃうとアツくなって むかしの日本人のお客さんたちみたいになっちゃうかもって心配はあるよね…

う~ん、可能性は十分だな…
興奮の仕方が日本人とは違うもんね

となると格闘技式より世界戦式の方が、やっぱり安全ではあるか…

まっ、いずれにしても競輪がより多くの方々、世界中の人々に楽しんでもらえるようになれば良しってことなんだけどさ

そ~ゆ~こと、そ~ゆ~こと!

ハイ!
とゆ~わけで、今回はおしまいです。
「でわ!」

 

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SR75話B面『あの世で飲みましょう』

本日のざれごと

お正月きぶんも、とっくのと~にぬけてしまった今日このごろです。
こよみのうえでは、ビッグイベント『大宮きねん』がおわってしまっておりますが、制作スケジュールの関係で、今回は触れることはできません。
こまっちゃったなあ~…
「センセェ、なんか話のネタな~い?」

う~ん…
ネタっていう言い方はしたくないんだけど、年明け早々、ちょっとショックな出来事はあったんだよね…

ん、どうしたの?

30年くらい前にオレの担当編集やってくれてた方が亡くなったって連絡を受けたの

えっ…

まだ50代半ばで、オレよか8歳くらい年下だったみたい…

……

ハッキリ覚えてはいないんだけど、たぶんオレが30代前半、彼が25歳前後って頃から5~6年担当してくれてたのかな…

だから、本当に大昔で、しかも最後に顔合わせたのも おそらく20年くらい前…
そのうち会いたいなあなんて思いながら、気がつきゃ月日だけ経っちゃったってパターンでさ…

結構年下だし、まさか亡くなってしまうなんて想像すらできないじゃん
愕然としちゃったよ…

長い月日がたってても、そういう想いがつづいてたってことは、その方とは きっと いい関係だったんだろうね…

オレって おそらく、過去に20人くらいの編集者さんにお世話になってるんだけど、オレが唯一怒鳴ったことのある編集者!

へっ?

たしか
「ふざけんなコノヤロ~!とっとと帰れ!」
って風にわめいたんだっけかな…

セ、センセェって、そ~ゆ~ガッツのある人だったの!?

いや~、ないない!
だから、彼が唯一なわけ

なにがあったの?

オレの方から話ふっちゃった以上、話さないわけにはいかないか…

若き担当編集者

ほんじゃあさ、彼のことは、とりあえずAさんってしとくね。

Aさんが、『ギャンブルレーサー』の担当編集してくれたのは1992~3年あたりから、たぶん5~6年間。

ちょうど吉岡稔真さん(65期・OB)が出現し、いきなり大活躍を始めた頃ね。

ちなみに連載初期は担当編集者さんって1~2年サイクルくらいで交代になっちゃってたんで、たしかAさんは5代目かな…

あっ、そうだ!

誤解のないように言っとくけど、当時の編集部では、連載作家は2年くらいで担当替えするって事にしてたみたいで、オレの性格に問題があってコロコロ代わってたって訳じゃないのよ。

ただ、こういうサイクルがあるってのは、かなり後になって知ることになるんだけどさ…

で、記憶はかなり薄れちゃってるんだけど、たしかAさんは、新卒で講談社に入社。

その後、1~2年どっかの部署をまわって『週刊モーニング』編集部に配属されたって形だったのかな…?
そんで、一発目がオレの担当って事だったのかもしれない…

このへんは、ほとんど忘れちゃった…

あと、それまでの担当編集者さんって、みなベテランや中堅クラスだったので、オレにとって若手に担当してもらうってのは初めてのことでもあったのね。

多少、心配したけど、頭のレベルは当然オレより何十倍も上なわけだし、仕事は最初からスムーズにいってたような気はする…

30年前の話だから微妙だけど…(笑)

打ち合わせの実態

でさ、それから関係が5~6年続くんだけど、当時は担当してもらってる期間が長いとか短いとか、あまり気にしたことはなかったのね…

担当替えのサイクルがあるなんて、そもそも知らなかったから…

さてと、そんでね、あの頃はオールアナログの時代。
打ち合わせでも何でも、その都度、編集者が作家の家に行くって形だったの。

オレは隔週連載だったので、2週間に1〜2度やって来て、4~5時間…
もっとかな?
原稿取りと、いろんな おしゃべりして帰って行くって感じだったのかな…

特殊な作品?だったせいか、内容に関しての打ち合わせや相談は、いつもほぼ無し。

通常なら、一番重要かつ不可避の「ネーム チェック」ってのが実質免除になっちゃってたからさ…
(※ネーム=ラフな見本原稿)

要は、作家が好き勝手に本番原稿描いて、出来たら渡すだけって事なんだけど、オレの場合は なぜか連載初期から そんな扱いになっちゃってたんだよね…

なもんだから、おしゃべりの中身は、ほとんどが雑談とオレの愚痴。

当時のオレはお酒が飲めなかったので仕方がないけど、要は飲み屋でするような会話しかしてなかったってこと。

ちなみにAさんは、若いながらも大酒飲み。
本当は、本物の飲み屋でやりたかったんだろうけどさ。

というわけで、Aさんとの関係は、編集者と作家ってより茶飲み友達って方が近かったのかも…

考えてみりゃ、他の編集者さんとも、ほとんどが こんなパターンだったんだけどね…(笑)

騒動勃発!

でね、そんなAさんが担当替えになる切っ掛けとなったのが 最初に話した「オレが怒鳴っちまった」って出来事から。

Aさんってのは、かなり年下ではあったけど、ズケズケ物言うタイプでもあったのね。

で、その日は珍しく業務上の とある相談になっていたの。

具体的な内容はしゃべれないけど、例えば、こういった感じの流れになっちゃったのかな…

「できませんか?」
「難しいなあ…」

で、そのうち こうなって…

「挑戦しようともせず、ハナからやる気がなくて断ってるだけじゃないんですか!」

みたいなセリフを投げられ、売り言葉に買い言葉

「ふざけんなコノヤロ~!とっとと帰れ!」

ってなったわけ。

こんなオレでも、仕事に関してだけは常に全力、一杯一杯でやってるって自負があったからさ…

あくまでも、オレからするとって話だけどね(笑)

さて、怒鳴った後、オレは即、別室行ってフテ寝…

その後は、Aさんと元同僚でもあった家人がビックリして部屋に飛び込んできて しばらく相手してたみたいだったけど…

でもさ、事態はそれで終わらなかったんだ…

というより、とんでもない方向に動いてっちゃったの…

Aさんときたら、正直者だから編集部戻って即、編集長に報告しちゃったのよ。

「作家、怒らせました」

アホだよね、まったく…

早速、編集長から手紙だったかFAXだったかが届いちゃってさ…
「担当を替える」って文言入りの…

カクっときたけど…

今度はオレのほうが大あわて。

たしかに怒鳴りはしたけど、Aさんって、オレにとっては すでに、何でも話ができるような大切な存在になってたからね…

なんとか担当替えを撤回してもらおうとしたんだけど、家人の発した一言でオレはあきらめたの。

家人は、Aさんが担当していた期間を改めて振り返り

「こんなに長い期間担当続くってあまり無いよ」
「安定連載だったから、編集長も異動させること、つい忘れてたんじゃない…」

ここで初めて担当替えのサイクルがあるって事を知ったのかな…

寂しかったけど、まあ仕方ないよね。
自分でしでかした事だから…

でもさ、担当から外れた後も、出版社の年末のパーティーだったりとかで年に1回くらい会えたりはしてたのかな…

ただ、年月が経つうちAさんも部署が変わったりとか だんだん機会がなくなっていって、最後に顔合わせたのは、これも最初に話したように今から20年くらい前。

ちなみに その時って、編集部に何か用事があって出向いたんだけど、違う部署に居たAさんが、オレが来るって話を聞いてわざわざ会いに来てくれたんだよね。

1回、飲んでみたかった…

で、そのあとAさんや お世話になってる編集者何名かと居酒屋さんみたいなとこ行ったのかな…

もちろん、その時のオレも まだお酒は飲めなかったんだけどさ。

だから、その時だったのか、その後、人を介してだったのか正確には覚えてないんだけどAさんが、こう言ってくれたって記憶があるの。

「タナカさんがお酒飲めるようになったら嬉しいなあ…」
「一緒に飲みたいなあ…」

そして、約20年…

今、オレもようやく人様とお酒を楽しめるようになったでしょ。
そういう機会があった時、よくAさんの顔思い浮かべたりすることもあったのよ。

なのにさ…

そのうちAさんに連絡したいなって思ってた矢先だもんなあ…

同僚さんに聞いたところによると、近年は体調が良くなさそうだったみたいなのね。

オレの担当をやってくれていた頃は元気いっぱいだったんだけどさ…

(1度だけでも飲みたかったなあ…)

オレも歳だし

「いつでも、会えらあ…」

って考え方には注意しないといけないのかな。

会いたい人には、積極的に会いに行かなきゃね。

 

そっか、とうとう会えないままのお別れになっちゃったんだ…

でもさ、これからしばらくはお酒飲む機会があった時は今まで以上に彼の顔思い浮かべるだろうから、それでいいかなとも思ってるけどね

センセェだって、そう遠くない未来にあっち行けるんだから、そこで思いきり飲めるじゃん!

まあ、そうだね
ハッハッハッ♡

とゆ~わけで、今回はおしまいにします。
「でわ!」